注文住宅で外壁が塗り壁かサイディングかどちらがいい?
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注文住宅で外壁が塗り壁かサイディングかどちらがいい?
木造住宅の外壁は80%以上がサイディングの外装になっています。昔からある塗り壁はわずか8%、金属サイディングやALCの外装など、いろんな種類があるけど、どっちがいいのか?
比較してみましょう。
〇塗り壁とサイディングの価格比較
〇メンテナンスコスト(ランニングコスト)はどうか?
塗り壁とサイディングの価格比較
現在では、一般的にサイディングが塗り壁よりも100万円ほど安いの相場です。
ただ、リスクを加味して塗り壁を推奨していなかったり、工事をしない工務店も多く耳にします。もう一つ大きな要因は熟練した職人不足がその傾向に拍車をかけています。
塗り壁にもいろんな種類があります。代表的な工法を比較、ご紹介します。
〇モルタル塗り壁 15,000円/㎡~
〇サイディング下地(大壁工法)塗り壁 15,000円/㎡~
〇EPS(発砲スチロール)下地に塗り壁 15,000円/㎡~
※仕上材(仕上げの模様や素材により異なります。)によりコストも増減しますので一般的なジョリパットやベルアートという製品をベースに参考価格としました。
〇意匠サイディング(一般品) 8000円/㎡~
〇目地がないサイディング(ミドル性能) 10,000円/㎡~
〇金属サイディング(ガルバ等) 10,000円/㎡~
〇光触媒サイディング (20年保証) 12,000円/㎡~
※多くの分譲住宅やローコスト系住宅では、一般品のサイディングが多く使われています。意匠性の高いデザインになると商品価格が上がる分、施工費含めて価格がアップしてゆきます。
イニシャルコスト面で圧倒的に意匠サイディングの採用が多く、戸建て新築住宅のシェアは75%程度、金属サイディングが10%程度と外装材としては日本で一番流通している素材です。
メンテナンスコスト(ランニングコスト)はどうか?
メンテナンスコストを算出する場合に、メンテンナンス周期とメンテナンスの内容を見て20年、30年、40年、50年でみてゆくのが良いと思います。
メンテナンスコストが優秀なのは「モルタル塗り壁(無機仕上)仕様」になります。
〇モルタル塗り壁 (無機仕上)
仕上材が無機の仕上材を使用した場合、紫外線劣化が少ない分、塗替えの必要がなくなります。ただ、外壁に面している部材がコーキングで防水処理をされていることが多く、そのメンテナンスの費用は必要になります。
無機の仕上材は吸水性があることが多く、汚れやすいので洗浄費用が発生してきます。
もう一つ大きな問題が、外壁のクラックです。クラックが発生すると漏水が起因して基本性能の劣化を引き起こす要因になるので、対処が必要になります。
無機の仕上材を採用するには、工務店の構造等、基本性能や施工精度の高さ等、建築技術が求められます。
〇光触媒サイディング(20年保証仕様)
イニシャルコストが一般品のサイディングよりも80〜100万円高額ではあるが、20年で比較するとランニングコストがコーキングの再施工程度なのでメリットが出てきます。汚れも光触媒で汚れにくく人気があります。
ただ、光触媒が塗布されているので、その後30年目に向けてのメンテナンスの時に下地処理などの費用が通常の塗替えよりも高額になり、一度塗り替えてしまえば、サイディングの高機能は効果を失う為、通常の一般品のサイディングと同様のメンテナンスコストが必要になってきます。
又は30年の周期で光触媒サイディングを再施工することになるとイニシャルコストと同様費用がかかるのと、既存サイディングを解体し処分する産業廃棄物費用が別途必要になります。
サイディングに共通していますが、廃棄コストと環境問題の観点からこれからより高額な処分費用になってくることが予想されます。
〇モルタル外壁(有機仕上)仕様とEPS下地の塗り壁工法
ほぼ、ランニングコストはほぼ変わらないです。防水性能を仕上材(塗料)の性能で保持している為、仕上材の性能でメンテナンスコストも左右されます。仕上材の劣化は紫外線による劣化が課題です。最新の仕上材には、無機の樹脂を使用したものやシリコンの含有量を増加させて耐候性に強い材料が流通してきています。
汚れの面でも光触媒やトップコートといった低汚染型の仕上材も多く、検討をしてみることをおすすめいたします。
〇サイディング(一般品)と目地なしサイディング
技術の進歩により、意匠性が高くなっているサイディング。特に目地なしサイディングは、サイディングの弱点であるコーキングを少なくすることができ注目されましたが、最近、反りや目地部開きなど、木造構造はどうしても動くので、外壁にも動きが伝わり雨水が侵入しているケースの現場を多く見るようになりました。
目地部や窓周辺ではコーキング材による止水処理がされている為、定期のメンテナンスはどうしても必要な外装になります。外装の経年劣化も15~20年程度では表面塗装の劣化状態を確認して塗替えが必要になってきますし、一定のメンテナンスコストが必要になります。
特に、反りや開きが大きくなってしまった目地なしサイディングは、サイディングの張り替えになるため、高額なメンテナンスが必要になってきます。定期的な点検をしてゆくことをおすすめいたします。
〇金属サイディング
近年、金属サイディングは、軽く、シャープなデザイン性と断熱材と組み合わせた外装材になり、多くの弱点をカバーしている外装材です。メンテナンスに関しては、どうしても定期的な塗り替えが必要になります。逆にしっかりメンテナンスすることで、耐久性を維持することが可能になります。
多くのサイディングでも課題は同じですが、部分的な補修ができない事です。この部分を入れ替える為には、まわりのサイディングを一度解体してからの再施工になることです。
ランニングコストを抑える外装材としては、サイディングよりもコストを抑えることは出来ると思います。
〇サイディングの大壁工法(塗り壁)
左官職人の不足や工期の短縮には効果的な工法ですが、サイディングのジョイントが問題視されています。年数とともにサイディングの重みでサイディングが少し下がってきて、目地部へ負荷がかかりジョイントがわかるようになってくる。
経年劣化でサッシまわりのコーキングのメンテナンスが必要で、サイディング本体の裏面やカットした小口から雨水や結露水を吸水すると基材そのものへの劣化が発生する要因となる。
特に年数が経過した案件では、胴縁が動いたり等の要因で留め付け自体が緩んでいるケースもあり、50年という経年を考えると再塗装だけでなく、張り替えのリスクも考える必要のある工法です。
塗り壁のメリット・デメリット
塗り壁のメリット
〇デザイン性があがり、高級感がある。
〇目地がなく、職人の手で仕上げるので味がある。
〇意外とランニングコストも定期メンテナンスと屋根材のメンテナンスを考えれば、
サイディングよりも安く済むノウハウがある工務店が存在している。
塗り壁のデメリット
〇構造から塗り壁に適した高度な設計力が必要になる。
〇木構造の場合、柱や土台・梁と総合的に素材を見抜き施工する経験と施工力が必要になる。
〇乾燥養生期間が必要になるため、工期が長くなる。
〇職人不足。外壁を綺麗に仕上げることができる職人が減少している。
失敗しない塗り壁 ポイント
〇設計力(構造面)できまる
〇デザイン力(意匠性)できまる
〇施工力(経験の豊富さ)できまる
外壁の塗り壁工法は、構造を理解し、塗り壁にあったデザインができ、素材の選定から構造の管理を含めた経年劣化をそうていした家づくりが必要で、設計力と経験・職人力が必要な工法です。木造建築の総合力を問われることになります。どこの工務店に頼むかで仕上がりが大きく異なることになります。
逆に、塗り壁工法を軸にしている工務店は多くの経験と施工力がある会社ですので安心して頼めます。
サイディングのメリット・デメリット
サイディングのメリット
〇工期が早く一定水準の仕上がりになり管理しやすい為、施工不良も少ない。
〇既製品として生産されているので、色目や風合いを確認しやすい。
〇デザイン性が高いサイディングが増えており、意匠性を選ぶことができる。
サイディングのデメリット
〇目地が発生したり、曲面施工ができない等、既製品であるため形状でのデザイン自由度はさがる。
〇縦張りのデザインを採用した場合に、横胴縁になるため、漏水や通気機能に幾分の不安がのこる。
〇分譲建売で多く採用されている為、デザインが同じものという事がある。
失敗しないサイディング ポイント
〇サイディング価格が目安
〇メンテナンス性でコーキングの種類等を確認する。
〇施工力(経験の豊富さ)できまる
外壁はサイディングであっても、良いものはやはり少しお高くなります。機能や耐久性に関しても価格と比例して各メーカーがグレードをもっていますので、施工力があり、経験豊富な工務店にご相談してください。
特に、メンテナンス性や耐久性に関してはコーキングの種類や建物のデザインに合わせた選択が必要になることが多いです。
まとめ
外装材には役目があります。日本の建築基準法では、外装材の役目は、防火・耐火性能があり、建物の構造に合わせて、どれくらいの耐火性能があるのかという、基準があります。その試験に合格した商品が外装材として流通しています。
アメリカでは近年、異常気象でハリケーンに対しての基準が強化され、物が飛んできた際に穴を開けてしまえば、風圧で外壁がはがされるのを防ぐ基準もできました。日本でも、台風がありますので、耐風圧で構造躯体から剝がされない為の引き抜き試験も実施されています。
最も大事な項目は雨水に対する対策です。漏水すれば大変な損害になりますし、目に見えない浸水は、木を腐らせたり、シロアリの被害を呼び込んだり、木構造の場合は耐震性の劣化につながります。納まりを考えた建築経験と誠実な施工力が重要な要素になります。
屋根や構造・外装材の選択は建築コストの中でも大きな割合を持っていますので、しっかりとした認識と知識・設計力が必要です。重さはそのまま耐震性や温熱環境への影響し何を選択し対応した施工をすることでしっかりした家づくりができるんだと確信をお持ちの建築家を選択することをおすすめいたします。
特に、外壁の塗り壁工法は、構造を理解し、塗り壁にあったデザインができ、素材の選定から構造の管理を含めた経年劣化をそうていした家づくりが必要で、設計力と経験・職人力が必要な工法です。木造建築の総合力を問われることになります。どこの工務店に頼むかで仕上がりが大きく異なることになります。
逆に、塗り壁工法を軸にしている工務店は多くの経験と施工力がある会社ですので安心して頼めます。 サイディングの工法を採用しても、構造や納まりで外装のリスクを知っており対策を施している工務店であれば、問題はないとおもいます。
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